ガドルフの百合·Miyazawa Kenji

ガドルフの百合

ガドルフのゆり

宮沢 賢治(Miyazawa Kenji)

intermediatechildren· 1996· 青空文庫 ↗

[表記について]

●底本に従い、ルビは小学校1・2年の学習配当漢字を除き、すべての漢字につけた。ただし、本テキスト中では、初出のみにつける方法とした。

●ルビは「」の形式で処理した。

●ルビのない熟語(漢字)にルビのある熟語(漢字)が続く場合は、「|」の区切り線を入れた。

●[※1~6]は、入力者の補注を示す。注はファイルの末尾にまとめた。

ハックニー馬[※1]のしっぽのような、巫戯けた楊の並木と陶製の白い空との下を、みじめな旅のガドルフは、力いっぱい、朝からつづけて歩いておりました。

それにただ十六哩だという次の町が、まだ一向見えても来なければ、けはいもしませんでした。

(楊がまっ青に光ったり、ブリキの葉に変ったり、どこまで人をばかにするのだ。殊にその青いときは、まるで砒素をつかった下等の顔料[※2]のおもちゃじゃないか。

ガドルフはこんなことを考えながら、ぶりぶり憤って歩きました。

それに俄かに雲が重くなったのです。

(卑しいニッケルの粉だ。淫らな光だ。

その雲のどこからか、雷の一切れらしいものが、がたっと引きちぎったような音をたてました。

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