タネリはたしかにいちにち噛んでいたようだった·Miyazawa Kenji

タネリはたしかにいちにち噛んでいたようだった

タネリはたしかにいちにちかんでいたようだった

宮沢 賢治(Miyazawa Kenji)

beginnerchildren· 1995· 青空文庫 ↗

ホロタイタネリは、小屋の出口で、でまかせのうたをうたいながら、何か細かくむしったものを、ばたばたばたばた、棒で叩いて居りました。

「山のうえから、青い藤蔓とってきた

…西風ゴスケに北風カスケ…

崖のうえから、赤い藤蔓とってきた

…西風ゴスケに北風カスケ…

森のなかから、白い藤蔓とってきた

…西風ゴスケに北風カスケ…

洞のなかから、黒い藤蔓とってきた

…西風ゴスケに北風カスケ…

山のうえから、…」

タネリが叩いているものは、冬中かかって凍らして、こまかく裂いた藤蔓でした。

「山のうえから、青いけむりがふきだした

…西風ゴスケに北風カスケ…

崖のうえから、赤いけむりがふきだした

…西風ゴスケに北風カスケ…

森のなかから、白いけむりがふきだした

…西風ゴスケに北風カスケ…

洞のなかから、黒いけむりがふきだした

…西風ゴスケに北風カスケ…。

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