バキチの仕事·Miyazawa Kenji

バキチの仕事

バキチのしごと

宮沢 賢治(Miyazawa Kenji)

beginnerfiction· 1996· 青空文庫 ↗

「ああそうですか、バキチをご存じなんですか。

「知ってますとも、知ってますよ。

「バキチをご存じなんですか。

小学校でご一緒ですか、中学校でご一緒ですか。いいやあいつは中学校なんど入りやしない。やっぱり小学校ですか。」「兵隊で一緒です。

「ああ兵隊で、そうですか、あいつも一等卒でさね、どうやってるかご存じですか。」「さあ知りません。隊で分れたきりですから。

「ああ、そうですか、そいじゃ私のほうがやっぱり詳しく知ってます。この間まで馬喰をやってましたがね。今ごろは何をしているか全く困ったもんですよ。

「どうして馬喰をやめたでしょう。

「だめでさあ、わっしもずいぶん目をかけました。でもどうしてもだめなんです。あいつは隊をさがってからもとの大工にならないで巡査を志願したのです。」「そして巡査をやったんですか。

「それぁやりました。けれども間もなくやめたんです。

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