あらしの前の木と鳥の会話·Ogawa Mimei

あらしの前の木と鳥の会話

あらしのまえのきととりのかいわ

小川 未明(Ogawa Mimei)

intermediatechildren· 1977· 青空文庫 ↗

ある山のふもとに、大きな林がありました。その林の中には、いろいろな木がたくさんしげっていましたが、一番の王さまとも見られたのは、古くからある大きなひのきの木でありました。

また、この林の中には、たくさんな鳥がすんでいました。しかし、なんといっても、その中の王さまは、年とったたかでありました。多くの鳥たちは、みんな、このたかをおそれていました。

ある日のこと、古いひのきの木と、たかとが話をしたのであります。

「いま、人間は、ひじょうな勢いで、いたるところで木を伐り倒している。いつ、この林の方へも押し寄せてくるかしれない。人間は、りこうかと思うと、一面は、ばかで、自分から火を出して、自分の住んでいる家も、また、せっかくりっぱに、仲間のためになった街も、みんな焼いてしまう。そんなことは、俺たちが考えたって、想像のつかないことだ。そうして、家が失くなったり、街が焼けてしまうと、あわてて大急ぎで、俺たちのいる方へやってくる。そんなにまで俺たちは、人間のために尽くしているのに、ありがたいとは思っていない。」と、ひのきの木は、話しかけました。

くるくるとした、黒い、鋭い目をしたたかは、これをきいていましたが、

「人間というやつほど、わがままなものはない。おまえさんが、そう怒んなさるのも無理はない。私たちだって、これまでずいぶんこらえてきたものだ。」と、たかは、おうようにいいました。

「しかし、あなたがたは、自由に飛んで歩ける身体だから、なにも、人間のいうとおりにならなくてもいいのだ。人間のいないところへいってしまえば、つらいめにもあわなくてすむというものだ。

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