美しい翼がある天使が、貧しげな家の前に立って、心配そうな顔つきをして、しきりと内のようすを知ろうとしていました。
外には寒い風が吹いています。星がきらきらと枯れた林のいただきに輝いて、あたりは一面に真っ白に霜が降りていました。天使は見るもいたいたしげに、素跣で霜柱を踏んでいたのであります。
天使は自分の身の寒いことなどは忘れて、ただこの貧しげな家のようすがどんなであろうということを、知りたいと思っているふうに見えました。家の内にはうす暗い燈火がついて、しんとしていました。まだ眠る時分でもないのに話し声もしなければ、笑い声もしなかったのであります。
このとき、ちょうど同じ村に住んでいる、人のいいおじいさんが、山の小舎でおそくなるまで働いて、そこを通りかかったのであります。そして、おじいさんは天使を見ると、そばへいってどうしたのかと問うたのであります。
天使はおじいさんを見上げて、
「近いうちに、この家へ天から子供を一人よこそうと思うのですが、心配でなりません。この寒いのに、子供がどうしてつらいめをしないものでもないと思うと、なんとなく案じられて、私はこの家のようすを見にやってきたのであります。それだのにこの家はしんとして、笑い声ひとつしないので、どうしたのであろうと考えていたのであります。」といいました。
おじいさんは天使のいうことを聞いて、もっともだといわぬばかりにうなずきました。
「それにちがいありません。俺がよく亭主の心持ちを聞いてみます……。」と、おじいさんは申しました。
天使は木枯らしの吹く中を、いずこへとなく歩いて去りました。その後を見送って、おじいさんは、よくこのときの神さまのお心持ちがわかったのでした。