いちじゅくの木·Ogawa Mimei

いちじゅくの木

いちじゅくのき

小川 未明(Ogawa Mimei)

beginnerchildren· 1977· 青空文庫 ↗

年郎くんと、吉雄くんは、ある日、学校の帰りにお友だちのところへ遊びにゆきました。そのお家には、一本の大きないちじゅくの木があって、その木の枝を差して造った苗木が、幾本もありました。

「この木を持ってゆかない?二、三年もたつと実がたくさんなるよ。」と、友だちはいいました。

そんなに早く、実がなるの。」と、二人は、おどろきました。

「ほんとうさ、このいちじゅくは、とても大きくて、うまいんだよ。」と、友だちは、自慢したのであります。

「そうかい、もらっていって、植えるから。」と、二人は同じくらいの苗木を一本ずつ、ぶらさげて、お家へ帰ったのでした。

年郎くんは、その小さい木をどこに植えようかと考えました。

「圃にうえようかな、土がいいから、きっと早く大きくなるだろう。」といって、圃に植えたのでした。

吉雄くんも、その木をどこに植えたらいいかなと考えました。

「庭のすみに植えてやろう。そう早く大きくなりはしないだろうから、邪魔になりはしない。」といって、庭のすみに植えました。

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