北の国の、寒い晩方のことでありました。
雪がちらちらと降っていました。木の上にも、山の上にも、雪は積もって、あたりは、一面に、真っ白でありました。
おじいさんは、ちょうど、その日の昼時分でありました。山に、息子がいって、炭を焼いていますので、そこへ、米や、芋を持っていってやろうと思いました。
「もう、なくなる時分だのに、なぜ家へもどってこないものか、山の小屋の中で病気でもしているのではなかろうか。」といって、おじいさんは、心配をいたしました。
「どれ、雪がすこし小やみになったから、俺が持っていってやろう。」といって、おじいさんは村から出かけたのでありました。
山へさしかかると、雪は、ますます深く積もっていました。小屋へ着くと、息子は達者で仕事をしていました。
「おまえは、達者でよかった。もう米や、野菜がなくなった時分だのに、帰らないものだから、病気でもしているのではないかと、心配しながらやってきた。」と、おじいさんはいいました。
息子は、たいそう喜びまして、
「私は、明日あたり、村へ帰ってこようと思っていましたのです。」と、おじいさんにお礼をいいました。
それから、二人は、小屋の中でむつまじく語らいました。やがて、だんだん日暮れ近くなったのであります。