正ちゃんは、目をさますと、もう朝でした。窓が明るくなって、どこかで雨戸を繰る音がしました。けれどそばに寝ている兄さんも、目をさまさなければ、またお母さんもお起きなさらぬようすです。
「きょうは、日曜日なんだ。
いつもなら、みんなが、こうゆっくりしてはいられぬのでした。正ちゃんは、いつも日曜は、朝がおそいのを知っていました。それをうっかりして、いつもと同じような気になって、三人で、八時から釣りにいく約束をしたのでした。かならず、七時半に迎えにくると勇ちゃんがいったから、もう起きて、ご飯を食べなければなりませんでした。
「お母さんを起こそうかしらん。」と、考えていましたが、まず、兄さんにいってみようと、
「兄ちゃん、まだ起きない?」と、声をかけました。小さな声で、いったのだけれど、兄さんは、目をふさいでいても、いつも、いまごろ起きる習慣がついているので、半分さめていたとみえて、
「正二、きょうは日曜日だろう。お母さんをゆっくり寝かしておいてあげな。音をたてると、お母さんが、目をおさましになるよ。」といいました。
なるほど、そうだった。いつも早く起きてくださるのだから、きょうは、お母さんをゆっくり寝かしてあげなければならぬと、正二にも思われたのでした。