お母さんはえらいな·Ogawa Mimei

お母さんはえらいな

おかあさんはえらいな

小川 未明(Ogawa Mimei)

beginnerchildren· 1977· 青空文庫 ↗

いちばん下の勇ちゃんには、よくおなかをいためるので、なるべく果物はたべさせないようにしてありましたから、ほかの兄さんや、姉さんたちが、果物をたべるときには、勇ちゃんの遊びに出て、いないときとか、また夜になって、勇ちゃんが寝てしまってから、こっそりとたべることにしていました。

「僕、びわがたべたいのだけど。

「私は、水蜜がたべたいわ。

兄さんや、姉さんたちは、果物の季節になると、いろいろおいしそうな、果物が、店頭に並ぶのを見てきて話をしました。

「晩に、勇ちゃんが休んでから、買ってきておたべなさい。」と、お母さんは、おっしゃったのであります。

ところが、ある日のこと、お土産に、みごとなパイをもらったのでした。

「まあ、おいしそうね。」と、お姉さんが、いいました。

「お母さん、すぐに、切っておくれよ。」と、太郎さんが、いいました。

「果物がはいっているから、勇ちゃんは、たべていけないのですね。」と、二郎さんが、パイをながめながらいいました。

さっきから、やはりだまって、おいしそうな大きなパイをながめていた、勇ちゃんは、これをきくと真っ赤な顔をして、二郎さんにとびつきました。

「そんなこと、あるもんか、僕、みんなたべるんだい。」と、けんかがはじまったのでした。

「ああ、これは、勇ちゃんもたべていいんですよ。」と、お母さんが、おっしゃったので、やっと勇ちゃんの怒りは解けましたが、

「僕、たくさんもらうんだ。」と、勇ちゃんが、がんばると、

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