いちばん下の勇ちゃんには、よくおなかをいためるので、なるべく果物はたべさせないようにしてありましたから、ほかの兄さんや、姉さんたちが、果物をたべるときには、勇ちゃんの遊びに出て、いないときとか、また夜になって、勇ちゃんが寝てしまってから、こっそりとたべることにしていました。
「僕、びわがたべたいのだけど。
「私は、水蜜がたべたいわ。
兄さんや、姉さんたちは、果物の季節になると、いろいろおいしそうな、果物が、店頭に並ぶのを見てきて話をしました。
「晩に、勇ちゃんが休んでから、買ってきておたべなさい。」と、お母さんは、おっしゃったのであります。
ところが、ある日のこと、お土産に、みごとなパイをもらったのでした。
「まあ、おいしそうね。」と、お姉さんが、いいました。
「お母さん、すぐに、切っておくれよ。」と、太郎さんが、いいました。
「果物がはいっているから、勇ちゃんは、たべていけないのですね。」と、二郎さんが、パイをながめながらいいました。
さっきから、やはりだまって、おいしそうな大きなパイをながめていた、勇ちゃんは、これをきくと真っ赤な顔をして、二郎さんにとびつきました。
「そんなこと、あるもんか、僕、みんなたべるんだい。」と、けんかがはじまったのでした。
「ああ、これは、勇ちゃんもたべていいんですよ。」と、お母さんが、おっしゃったので、やっと勇ちゃんの怒りは解けましたが、
「僕、たくさんもらうんだ。」と、勇ちゃんが、がんばると、