おかしいまちがい·Ogawa Mimei

おかしいまちがい

おかしいまちがい

小川 未明(Ogawa Mimei)

beginnerchildren· 1976· 青空文庫 ↗

ある田舎に、一人の男がありました。その男は、貧乏な暮らしをしていました。

「ほんとうに、つまらない、なにひとつおもしろいことはなし、毎日おなじようなことをして、日を送っているのだが、それにも飽きてしまった。

男は、そう思いました。そして、あう人に向かって愚痴をもらしました。

これを聞いた人々の中には、

「これは、おまえさんばかりがそうなのではない、みんながそうなのですよ、しかし、いったからとてしかたがないから黙っているのですよ。」といったものもあります。

しかし、男は、それを聞いただけでは、あきらめられませんでした。もっと、おもしろいことや、しあわせのことがなかったら、生きているかいはないように考えました。

男は、お膳に向かって飯を食べますときに、

「いつも、こんなまずいものばかり食っているのでは、生まれてきたかいがない。」と思いました。

また、仰向いて、家の内をじろじろと見まわしては、

「いつも、こんな汚らしい、狭い家に住んでいるようでは、生まれてきたかいがない。」と思いました。

そして、男は、人の顔を見ると不平をもらしました。なかには、

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