ねえやの田舎は、山奥のさびしい村です。町がなかなか遠いので、子供たちは本屋へいって雑誌を見るということも、めったにありません。三郎さんは、自分の見た雑誌をねえやの弟さんに、送ってやりました。
「坊ちゃん、ありがとうございます。弟は、どんなに喜ぶかしれません。」と、ねえやは、目をうるませて、いいました。
すると、ある日のこと、弟の孝二くんから、たいそうよろこんで、手紙がまいりました。そして、山で拾った、くりや、どんぐりを送ると書いてありました。
「町が遠いのに、弟さんは、小包を出しにいったんだね。」と、三郎さんはききました。
「いえ、町へは、毎日、村から、だれかついでがありますから。」と、ねえやは、答えました。
手紙のあとから、小包がとどきました。あけると、紫色のくりや、まるいどんぐりや、また、ぎんなんなどが、はいっていました。そして山から、いっしょについてきた、木の葉もまじっていました。これを見ると、ねえやは、子供の時分のことを思い出して、なつかしそうにながめていました。
「こんなのが、山にたくさんなっているの?
「はい、たくさん、なっています。
「いってみたいなあ。」と、三郎さんは、田舎の秋の景色を思いました。