あるところに、あまり性質のよくない男が住んでいました。この男は平気で、うそをつきました。また、どうしてもそれがほしいと思えば他人のものでも、だまってそれを持って帰りました。
こういう人間をば、世間は、いつまでも知らぬ顔をしておきませんでした。みんなは、だんだんその男をきらいました。その男と交際することを避けました。けれど、そんなことで、この男は、反省するような人間ではなかったのであります。
とうとう男は、悪いことをしたために、捕らえられて牢屋へいれられてしまいました。いままで、自由に、大空の下を歩いていたものを狭苦しい牢屋の中で送らなければならなかったのでした。
「あの男も、ついに牢屋へいれられてしまった。こんどは、すこしは、目がさめるだろう。そして、真人間になって、出てきてくれればいいが……。」と、みんなはうわさをしていました。
牢屋へいれられた男は赤い舌を出していました。
「おれが魔法使いのことを知らないか、ばかどもめが……。」といって、冷笑していました。
この男は、いつ、その牢屋から逃げたものか、わずかのまに、そこにいなくなってしまいました。
牢屋の番人は、たまげてしまいました。まったく影のごとくに消えてしまったこの男を、普通のものとは思われなかったのです。
男を知っているものは、そんなうわさをしているやさきに、男が、目の前へ姿をあらわしたものですから、びっくりして、