おさくは、貧しい家に生まれましたから、小学校を卒業すると、すぐに、奉公に出なければなりませんでした。
「なに、私が、いいところへ世話をしてやる。」と、植木屋のおじいさんはいいました。
彼女の父親は、とうに死んでしまって、あわれな母親と暮らしてきました。おじいさんは、しんせつな人であって、なにかに、二人を気にかけてくれたのであります。
「工場へゆくよりか、夜は、勉強でもさしてくださる、どこかしんせつのお家がいいと、おじいさんは心配していてくださるのだから、見つかって、そのお家へいったら、よくいいつけを守って、働かなけりゃならないよ。」と、お母さんは、いいました。
「お母さん、きっと、よく働きます。どうか、心配なさらんでください。」と、おさくは、目に、いっぱい涙をためて答えました。
「ああ、おまえが、その決心なら、お母さんは心配しません。
こう、母親は、いったものの、これまで長い間、二人は、むつまじく、朝晩、顔を見合って、暮らしてきたのに、この後は、べつべつに生活しなければならぬと知ると、なんとなくさびしくなりました。しかし、どうせ、娘は、一度は世の中に出なければならない運命であると考えると、こんなに気を弱くしてはしかたがないと、強いて、元気をつくっていました。
それから、間のないことであります。
「おさくちゃんのいく、いいところが見つかったぞ。」といって、おじいさんは、ある日の晩方、機嫌よく、外からはいってきました。
「まあ、おじいさん、それは、どうもありがとうございます。」と、母親は、いって、おじいさんを迎えましたが、うれしいうちにも、いよいよかわいい娘に別れなければならぬ日がきたかと思うと、悲しさが、胸いっぱいになりました。しかし、それを押さえつけて、顔にあらわすまいとして、母親は、にこにこ笑いながら、