お姉ちゃんといわれて·Ogawa Mimei

お姉ちゃんといわれて

おねえちゃんといわれて

小川 未明(Ogawa Mimei)

beginnerchildren· 1977· 青空文庫 ↗

光子さんが、学校へいこうとすると、近所のおばあさんが、赤ちゃんをおぶって、日の当たる道の上に立っていました。

「お姉ちゃん、いまいらっしゃるの。」と、おばあさんは、声をかけました。

光子さんは、にっこりとしたが、そのまま下を向いて、だまっていってしまいました。

「わたし、お姉ちゃんでないわ。」と、光子さんは、つぶやきました。

あんなにたのんでも、赤ちゃんを、だっこさしてくれないのに、なんでお姉ちゃんと、いうのだろう。私は、お姉ちゃんといわれても、ちっともうれしいことはないわと、光子さんは、道を歩きながら、思いました。

そして、おばあさんが、いじわるのような気がして、ていねいにあいさつする気にもなれなかったけれども、赤ちゃんは、かわいらしくて、ほんとうに、あのほおずきのような、ほおをぷっと吹いてやりたくなったのでした。

「どうして、私に、赤ちゃんをだっこさしてくれないのでしょう。

ある日、おばあさんは、光子さんのお母さんに向かって、

「このごろ、お光ちゃんは、なにかお気にさわったことがあるとみえて、怒っていらっしゃるのですよ。いくら考えても、なにがお気にさわったかわかりませんが、どうかお母さんから、きいてみてくださいませんか。」と、たのみました。

こういわれたので、お母さんは、びっくりして、

「まあ、そんなことがあったのですか、それは、なにかおばあさんの、お考えちがいで、ありませんか。しかし、あんなおてんばですから、もし失礼をしましたら、どうぞごめんくださいまし。」と、おわびなさいました。

0:0025%