お化けとまちがえた話·Ogawa Mimei

お化けとまちがえた話

おばけとまちがえたはなし

小川 未明(Ogawa Mimei)

beginnerchildren· 1977· 青空文庫 ↗

ある田舎に、二郎という子供がありました。よく隣の家へ遊びにゆきました。

その家には、二郎といっしょになって、遊ぶような子供はなかったけれど、女房は、二郎をかわいがってくれました。

「おばさん、あの赤いかきの葉をとっておくれよ。」と、二郎は、裏にあったかきの葉をさしていうと、女房は、仕事をしながら、

「いま、これが終えたら、取ってあげますよ。

と答えて、仕事がすむと、さおを持ってきて、二郎のほしいというかきの葉を取ってくれたこともあります。

「おばさん、つるを折っておくれよ。」と、二郎は頼むと、女房は、

「はい、はい、いまこれがすむと折ってあげますから待っておいでなさいね。」といいました。

二郎は、女房の仕事をしているそばで、おとなしく遊んでいました。そして、おりおり、その方を見ては、

「おばさん、まだかい。」と、催促をしたのであります。

女房の家は、貧しかったのであります。主人は、行商をして、晩方、暗くならなければ帰ってこなかったのでした。せがれは、旅へ奉公にやられて、女房は、主人の留守も家でいろいろな仕事をしたり、手内職に封筒を貼ったりしていたのでした。

「おまえは、よくお隣へゆくが、おかみさんの仕事の邪魔をしてはいけないよ。」と、おばあさんは、二郎にいい聞かせたのです。

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