ある田舎に、二郎という子供がありました。よく隣の家へ遊びにゆきました。
その家には、二郎といっしょになって、遊ぶような子供はなかったけれど、女房は、二郎をかわいがってくれました。
「おばさん、あの赤いかきの葉をとっておくれよ。」と、二郎は、裏にあったかきの葉をさしていうと、女房は、仕事をしながら、
「いま、これが終えたら、取ってあげますよ。
と答えて、仕事がすむと、さおを持ってきて、二郎のほしいというかきの葉を取ってくれたこともあります。
「おばさん、つるを折っておくれよ。」と、二郎は頼むと、女房は、
「はい、はい、いまこれがすむと折ってあげますから待っておいでなさいね。」といいました。
二郎は、女房の仕事をしているそばで、おとなしく遊んでいました。そして、おりおり、その方を見ては、
「おばさん、まだかい。」と、催促をしたのであります。
女房の家は、貧しかったのであります。主人は、行商をして、晩方、暗くならなければ帰ってこなかったのでした。せがれは、旅へ奉公にやられて、女房は、主人の留守も家でいろいろな仕事をしたり、手内職に封筒を貼ったりしていたのでした。
「おまえは、よくお隣へゆくが、おかみさんの仕事の邪魔をしてはいけないよ。」と、おばあさんは、二郎にいい聞かせたのです。