きれいなきれいな町·Ogawa Mimei

きれいなきれいな町

きれいなきれいなまち

小川 未明(Ogawa Mimei)

beginnerchildren· 1977· 青空文庫 ↗

あるところに、かわいそうな子どもがありました。かね子さんといって、うまれたときからよく目が見えなかったので、お母さんは、たいそうふびんに思っていらっしゃいました。

あちらにいい目のおいしゃさまがあるといえば、そこへつれていき、またどこそこにいい目のおいしゃさまがあると聞けば、そこへつれていきました。

けれど、どのおいしゃさまも、はっきりなおるとうけあった人はなかったのです。

「お母さん、わたしは目が見えなくても次郎さんがあそびにきてくださるから、ちっともかなしくはありません。」と、かね子さんはいいました。

「ほんとうに次郎さんは、やさしいいいお子さんですね。あんなにしんせつなお子さんはありませんよ。」と、お母さんもおよろこびになりました。

毎日、次郎さんはあそびにきてくれました。

「かね子さん、ぼく、おもしろいご本をもってきたのだよ。いま読んであげるからきいていてごらん。

そういって次郎さんは、浦島太郎のお話を読んできかせました。

「かね子さん、おもしろい?

「おもしろいわ、太郎は助けたかめをにがしてやったのでしょう。

「そうすると、かめがおれいにやってきたのだよ。どうかわたしの背中にのってください、龍宮におつれ申しますといったのさ。」といって、次郎さんはご本のきれいな絵をながめていました。

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