あるところに、かわいそうな子どもがありました。かね子さんといって、うまれたときからよく目が見えなかったので、お母さんは、たいそうふびんに思っていらっしゃいました。
あちらにいい目のおいしゃさまがあるといえば、そこへつれていき、またどこそこにいい目のおいしゃさまがあると聞けば、そこへつれていきました。
けれど、どのおいしゃさまも、はっきりなおるとうけあった人はなかったのです。
「お母さん、わたしは目が見えなくても次郎さんがあそびにきてくださるから、ちっともかなしくはありません。」と、かね子さんはいいました。
「ほんとうに次郎さんは、やさしいいいお子さんですね。あんなにしんせつなお子さんはありませんよ。」と、お母さんもおよろこびになりました。
毎日、次郎さんはあそびにきてくれました。
「かね子さん、ぼく、おもしろいご本をもってきたのだよ。いま読んであげるからきいていてごらん。
そういって次郎さんは、浦島太郎のお話を読んできかせました。
「かね子さん、おもしろい?
「おもしろいわ、太郎は助けたかめをにがしてやったのでしょう。
「そうすると、かめがおれいにやってきたのだよ。どうかわたしの背中にのってください、龍宮におつれ申しますといったのさ。」といって、次郎さんはご本のきれいな絵をながめていました。