泉水の中に、こいと金魚が、たのしそうに泳いでいました。しかし、黒いねこが、よくねらっていますので、ゆだんができませんでした。いつ、つかまえられて、食べられてしまうかしれないからです。
「私が、見張りをしてあげましょう。」と、毎日、泉水のほとりで遊んでいる鶏がいいました。鶏は、すばしこかったから、けっして、ねこにとらえられるようなことはありませんでした。
「どうぞ、おたのみいたします。」と、こいと、金魚はいいました。
鶏は、毎朝小舎の屋根に飛び上がって、いい声で、ときをつくりました。そして、黒いねこが泉水の近くを歩いていると、コケッコ、コケッコといって、泉水の中の金魚や、こいにも、注意をしたのであります。
すると、金魚も、こいも、水の中に深く、くぐってしまいました。
「なんと羽のあるものは、自由じゃないか。」と、鶏はいって、金魚や、こいに対して、威張りました。金魚や、こいは、なんといわれてもしかたがなかったのです。
「あなたは、ほんとうにえらい。」といっていました。
ある朝、金魚や、こいが目をさまして、上を見ますと、小舎より、もっと高く、空に大きなこいのぼりが、ひらひらとしていました。こいは、これを見ると、喜びました。