夜おそくまで、おじいさんは仕事をしていました。寒い、冬のことで、外には、雪がちらちらと降っていました。風にあおられて、そのたびに、さらさらと音をたてて、窓の障子に当たるのがきこえました。
家の内に、ランプの火は、うす暗くともっていました。そして、おじいさんが、槌でわらを叩く音が、さびしいあたりに、おりおりひびいたのであります。
このおじいさんは、たいそう酒が好きでしたが、貧しくて、毎晩のように、それを飲むことができませんでした。それで、夜業に、こうしてわらじを造って、これを町に売りにゆき、帰りに酒を買ってくるのをたのしみにしていたのであります。
野原も、村も、山も、もう雪で真っ白でありました。おじいさんは、毎晩根気よく仕事をつづけていたのであります。
こう、雪が降っては、隣の人も話にやってくるには難儀でした。おじいさんは、しんとした外のけはいに耳を傾けながら、「また、だいぶ雪が積もったとみえる。」と、独りごとをしました。そして、また、仕事をしていたのであります。
このとき、なにか、窓の障子にきて突きあたったものがあります。雪のかかる音にしては、あまり大きかったので、おじいさんは、なんだろうと思いました。
しかし、こうした大雪のときは、よく小鳥が迷って、あかりを見てやってくることがあるものだと、おじいさんは知っていました。これはきっとすずめか、やまがらが、迷って飛んできたのだろう。こう思って、おじいさんは、障子を開けてみますと、暗い外からはたして、一羽の小鳥がへやのうちに飛び込んできました。
小鳥は、ランプのまわりをまわって、おじいさんが仕事をしていたわらの上に降りて、すくんでしまいました。