ごみだらけの豆·Ogawa Mimei

ごみだらけの豆

ごみだらけのまめ

小川 未明(Ogawa Mimei)

beginnerchildren· 1977· 青空文庫 ↗

地震のありました、すぐ後のことであります。町には、米や、豆や、麦などがなくなりました。それで、人々は、争って、すこしでも残っているのを買おうとしました。

ある乾物屋では、こんなときにこそ、小舎をそうじして、平常落ちている豆や、小豆などを拾い集めて、売ってしまわなければならぬと思ったのです。主人や女房は、小舎の中をはいて、きれいに、落ちている豆や、小豆を一ところに集めました。それは、かなりたくさんな量があったのです。大きな器の中に入れて、店に出しておきました。

美代子は、外から、家へ帰ると、

「お母さん、いま、町の一軒の乾物屋にたくさん白い豆がありましたから、早く、なくならないうちに買っておきましょう。」といいました。

お母さんも、お父さんも、びっくりしたような顔つきをして、

「ほんとうに豆があったの。それは、なくならないうちに買っておいたほうがいい。はやく、おまえいって、二升ばかり買っておいでなさい。」と、お母さんはいわれました。

美代子は、ふろしきを持って、いそいそと家から出ていったのです。その後で、お父さんと、お母さんとは、話をなさいました。

「よく豆がありましたこと。

「なにを見てきたのか、いまごろそんなものがあろうはずがないさ。

「だって、あの子が、見てきたのですもの、どこかからきたのでしょう。

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