すいれんは咲いたが·Ogawa Mimei

すいれんは咲いたが

すいれんはさいたが

小川 未明(Ogawa Mimei)

beginnerchildren· 1977· 青空文庫 ↗

金魚鉢にいれてあるすいれんが、かわいらしい黄色な花を開きました。どこから飛んできたか小さなはちがみつを吸っています。勇ちゃんは日当たりに出て、花と水の上に映った雲影をじっとながめながら、

「木田くんは、どうしたろうな。」と、思いました。

二人は、同じ組でいっしょにデッドボールをやれば、まりほうりをして遊んだものです。木田は、小さくなったズボンをはいていたもので、うずくまるとおしりが割れて、さるのおしりのように見えたのも目にうつってきました。

ある日のこと雑誌を貸してやると、

「ふなをあげるから遊びにこない?」と、木田はいいました。

勇ちゃんは、ふながほしかったから、急にゆきたくなりました。

「どうしたの、君が釣ってきたのかい。」とたずねました。木田は、棒切れで砂の上に字をかきながら、

「ああ、お父さんと川へいって釣ってきたんだ。こんど、君もいっしょにゆかない?」と、いきいきとした顔を上げたのであります。

「いつか、つれていっておくれよ。君のお父さん、釣るのはうまい?

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