ある日のことです。孝吉が、へやで雑誌を読んで、夢中になっていると、
「孝吉は、いないか。」と、おじいさんの呼ばれる声がしました。いつもとちがって、なんだか怒っているようです。
「はてな、どうしたんだろう。なんにもしかられる覚えはないのに。」と、孝吉は、思いました。
」と、返事をして、おじいさんのそばへいきました。
「おまえは、私の大事にしているらんの鉢を倒したろう。」と、眼鏡越しにじっと顔をにらんでおっしゃいました。孝吉は、知らないことですから、
」と、答えました。
「知らないことがあるものか。おまえよりするものがない。」と、おじいさんは、あくまで孝吉がしたと思っていられます。
「あれほど、植木台へ上ってはいけないというのに、いつもあすこへいって、おまえはいたずらをしている。
孝吉は、よく屋根の植木を並べてある台の上へ出ます。なぜなら、あすこはよく日が当たってあたたかであるし、また遠方の景色が見えて、なんとなく気分が晴れ晴れするからでした。けれど、おじいさんの大事にしている植木鉢などに一度だってさわったことはありません