風が吹くと、木の葉が、せわしそうに動きました。空の色は青々として、秋がしだいに深くなりつつあるのが感じられます。朝、まだうす暗いうちから、庭さきの木立へ、いろいろの小鳥が飛んできてさえずりました。ちょうど、休日だったので、ご飯がすむと、清くんは、縁側へ出て、新聞を見ていらっしゃるお父さんのそばへいって、自分もゆっくりした気持ちで庭をながめていました。
すずめまで、他の渡り鳥のように、元気よく木の枝や、屋根の上で、鳴いていました。このとき、空気銃を持った少年が、かきねの外を通りました。
「秀ちゃんの、兄さんだ。
清くんは、すぐ庭へ下りて走りました。まもなく、木戸口から、少年をつれて、入りました。
「ほら、あの木の枝にいるじゃないか。
少年は、やっとわかったとみえてうなずきました。そして、銃を持ちかえると、ねらいをつけました。同じく、お父さんも、その方を見ていられたが、あのすずめは親すずめと子すずめらしい。親すずめは、自分だけ逃げようとせず子すずめをかばうであろう。それがために、子供の身がわりとなって、打たれるかもしれない。どうぞ、神さま、たまがあたりませぬように!と、心で念じていられたのです。