ある村へ、一人の乞食の子が入ってきた。十二、三で顔はまっ黒く、目の大きな子だ。そのうえいじ悪で、人に向かって、けっして、ものをくれいといったことがない。毎日毎日外を歩いていて、ほかの子供がなにか食べていると、すぐさまそれを奪い取って食べてしまう。また銭を持っていると、すぐさまその銭を奪い取って、自分でなにか買って食べてしまう。だから村じゅうでは、その乞食の子をにくまないものがない。けれど、しかるとかえって復讐をするので、だれも恐れていた。乞食の子は、夜になっても泊めてくれるものがない。いつも木の根や、家の軒でねたり、林の中でねたりしていた。朝早く起きると、子供が遊んでいるのを探して歩いた。
ある日じいさんが、途中で財布を取り出して金を計算しているのを見た。乞食の子は、さっそくそばへきて、地面に落ちている小石を拾って、
「おじいさん、銀貨が一つ落ちていた。」といって、手をさしだすと、じいさんはあわてて、金を取り返そうとした。乞食の子は手をひっこめた。するとじいさんは、ほんとうにこの子が銀貨を拾ったと思いこんで、