町の運輸会社には、たくさんの人たちが働いていました。その中に、勘太というおじいさんがありました。まことに、人のいいおじいさんであって、だれに対してもしんせつであったのであります。
若いものたちがいい争ったりしたときは、いつもおじいさんが中にはいって仲裁をしました。
「まあ、すこしのことでそんなに怒るものでない。ここに働いているものは、いわば兄弟も同じことだ。たがいに力になり、助け合うのがほんとうだのに、争うということはない。すこしくらい腹がたつことがあっても忘れて、仲よくしなければならない。」といいました。
おじいさんに、やさしくいわれると、だれでもなるほどと思わずにはいられませんでした。そして、自分たちのしたことがまちがっていたと気づくのでありました。
おじいさんは、また仲間が、病気にでもかかると、しんせつにしてやりました。自分の家を離れて、他人の中で病気にかかっては、どんなに心細いことだろう、そう思って、できるだけしんせつにしてやったのであります。
こうした、おじいさんのしんせつは、みんなに感じられたので、いつか自分の親のように思ったものもあれば、またいちばん親しい人のごとく考えたものもあったのでした。
「おじいさんの生まれた国は、どこですか。」といって、聞いたものがあります。けれど、おじいさんは、答えずに、ただ遠い国だとばかりいっていました。
また、おじいさんには子供や、身頼りのものがいるかしらんと、そのことを聞いたものもあります。すると、おじいさんは、さびしく笑いながら、