ねずみの冒険·Ogawa Mimei

ねずみの冒険

ねずみのぼうけん

小川 未明(Ogawa Mimei)

beginnerchildren· 1977· 青空文庫 ↗

一匹のねずみが、おとしにかかりました。夜中ごろ天井から降りて、勝手もとへ食べ物をあさりにいく途中、戸だなのそばに置かれた、おとしにかかったのです。空腹のねずみは、あぶらげの香ばしいにおいをかいで、我慢がしきれなかったものでした。ねずみは、そのせまい金網の中で、夜じゅう出口をさがしながら、あばれていました。夜が明けると、ねまきを着た、この家の主人が、奥からあらわれました。

「大きいねずみだな。こいつだ、このあいだから、そこらをガリガリかじったのは。

主人は、しばらく立って見ていました。

「どうしてくれようか。

ものぐさな主人は、自分の手で殺さずに、ねこに捕らえさせることを考えました。それで、ねずみの入ったおとしを下げて、外へ出ました。

寒い朝で、路の上は白く乾いていました。前側の商店の小僧さんが、往来をはいていました。

「大きいやつが、かかりましたね。」と、ほうきを持つ手を休めて、ながめていました。

「ねこは、どうしました。

さあ、どこへいったか見えませんよ。

「こいつをどうしようかな。

「水の中へお入れなさい。

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