はたらく二少年·Ogawa Mimei

はたらく二少年

はたらくにしょうねん

小川 未明(Ogawa Mimei)

beginnerchildren· 1977· 青空文庫 ↗

新しい道が、つくりかけられていました。おかをくずし、林をきりひらき、町の中を通って、その先は、はるかかなたの、すみわたる空の中へのびています。そこには、おおぜいの労働者が、はたらいていました。

トロッコが、ほそいレールの上を走りました。道ばたには、大きな土管がころがり、くだいた石や、小じゃりなどが、うずたかくつまれていました。

はたらくものの中には、年をとったものもいれば、まだわかいものもいました。かれらはシャベルでほった土をトロッコへなげこんだり、つるはしをかたい地面にうちこんで、溝をつくったりしました。こうして、しごとをする間は、たがいに口をきかなかったけれど、自分をなぐさめるために、無心で歌をうたうものもありました。

やがて正午になると、近くの工場から、汽笛がきこえます。すると一同は手を休めて、昼飯を食べる用意をしました。それからの一時間は、はたらく人々にとって、なによりたのしかったのでした。

二人の少年は、石へこしかけて、秋の近づいた空をながめていました。

「そんなら、Kくんは小さいときに、家を出たんだね。」と、Nがいいました。

「そう、母親がなくなると、父親はちっともぼくたちをかまってくれなかったから、どこかへいけば、母親のかわりに、やさしくしてくれる人があろうかと思ってね。」と、Kが答えました。Nはうなずきながら、

「わたしは、ちょうどきみとははんたいで、父親の顔をおぼえていない。まったく母親の手一つで、大きくなったのさ。その母の手だすけもできぬうちに、母は死んでしまった。

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