はちとばらの花·Ogawa Mimei

はちとばらの花

はちとばらのはな

小川 未明(Ogawa Mimei)

beginnerchildren· 1977· 青空文庫 ↗

はちは、人間の邪魔にならぬところに、また、あんまり子供たちから気づかれないようなところに、巣をつくりはじめました。

仲間たちといっしょに、朝は早く、まだ太陽の上らないうちから、晩方はまたおそく、まったく日の沈んでしまうころまで、せっせと働いたのであります。

彼らが、こうして働いているときに、この世の中では、いろいろなおもしろいことや、またおもしろくないことなどが起こっても、けっして、それに目もとまらなければ、また心のひかれるようなことがなかったほど、いっしょうけんめいであったのでした。

ひまなとんぼが遊んでいたり、おしゃべりなせみが鳴いていたりする間に、はちはせっせと働いていました。

一ぴきのはちは、巣を離れて、外へいっていて、すこし暇がとれたのでした。

「ああおそくなった。早く帰っておてつだいをしなければならぬ。」と思って、急いで、青い空の下を、自分たちの巣の方に向かって、一直線に走ってきました。

すると、どうでしょう。留守の間にたいへんなことが起こりました。せっかく、幾日となく、日も夜も精を出して、やっと半分も造った巣は、たたき落とされてめちゃめちゃに砕かれ、そのうえに、仲間までが幾ひきとなく殺されていたからです。これを見て、はちは、気が遠くなるほど驚きました。そして、悲しみました。

「だれが、こんなことをしたのだろう?」と考えましたが、すぐそれは、人間のいたずら子がしたということがわかりました。

そこへ、外へ出た仲間が、つぎつぎともどってきました。そして、みんなが、この有り様を見ておどろき、腹をたてぬものはなかったのです。

砕かれた、巣のまわりを飛びまわり、どうしたらいいものかと思案に暮れました。憎いいたずら子を針で刺してやりたいと思いましたが、どこへ逃げたか、その子供らの、影も、形もあたりには見えませんでした。

「どうしたら、いいものだろうか。

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