はととりんご·Ogawa Mimei

はととりんご

はととりんご

小川 未明(Ogawa Mimei)

beginnerchildren· 1977· 青空文庫 ↗

二人の少年が、竹刀をこわきに抱えて、話しながら歩いてきました。

「新ちゃん、僕は、お小手がうまいのだぜ。

「ふうん、僕は、お胴だよ。

「お面は、なかなかはいらないね。

「どうしても、背の高いものがとくさ。正ちゃん、いつか仕合してみない。

新吉は、お友だちの顔を見て、にっこりと笑いました。

「まだ、君と、やったことがないね。だが、新ちゃんを負かすと、かわいそうだからな。

「だれが、正ちゃんに負けるものか。

新吉は、自信ありげに肩をそびやかして、前方をにらみました。

「僕は、新ちゃんに負けない。

「僕も、正ちゃんに負けない。

二人は、道の上で、竹刀を振りまわしながら、仕合のまねごとを始めたのです。

「おや、あぶのうございますよ。

ふいに、どこかのおばさんが声をかけました。おばさんは、道の端の方へ体をさけていました。

「新ちゃん、あぶないからよそうや。」と、正二がいいました。

「ああ、よそう。

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