そこは北のさびしい海岸でありました。秋も末になると、海が荒れて、風は、昼となく夜となく吹いて、岩に打ちあたってくだける波がほえていました。この時分になると、白いかもめがどこからともなく、たくさんこの海岸に集まってきました。そして、波の上をかすめたり、岩に下りたりして、魚を捕ったのであります。
村の子供たちは、砂山の上で遊んでいました。
「はまねこが、今日は、たくさんいるなあ。」と、一人が、おどろいたように目をみはって、沖の方を見ていいました。このへんでは、白いかもめのことを、はまねこ、といっていたのです。
「沖が、荒れるんだろう。」と、ほかの子供が、いいました。
このとき、日は、もう西へはいりかけていました。遠く、その方を見ると、雲の切れめが、金色に光って、ものすごいうちに、くずれかけた悪魔のお城のような美しさがありました。そして、その下に、おおかみのきばのような、とがった嶺があり、もう、そこには、雪がきていて、頭が白くなっていたのであります。
「弓をこしらえて、はまねこを射ろうか?
「はまねこなんか、とったって、たべられはしないや。
「ううん、はまねこは、うまいというぜ。
「はまねこをとると、よくないことがあるというから、だれもとらないのだよ。
「うちのおじいさんがいった。はまねこを殺すと、海があれて、船が、難船するって。
漁がないというんだぜ。