へちまの水·Ogawa Mimei

へちまの水

へちまのみず

小川 未明(Ogawa Mimei)

beginnerchildren· 1977· 青空文庫 ↗

山へ雪がくるようになると、ひよどりが裏の高いかしの木に鳴くのであります。正雄は、縁側にすわって、切ってきた青竹に小さな穴をあけていました。

「清ちゃんのより、よく鳴る笛を造ってみせるぞ。そして、二人で林へいって、やまがらを呼ぶんだ。

彼は、独り言をしながら、注意深く、細い竹に小刀で穴をあけていたのです。しかし、若竹で柔らかくて、うまく思うようにいかなかったのです。庭のすみに、寒竹が生えていました。

正雄は、庭に降りて、寒竹を切ろうとしたのです。

「あっ、それを切っては、だめよ。お父さんが、大事にしていなさるのだから。」と、姉のとよ子が見つけていいました。

「やはり清ちゃんのところへいって、聞いてこよう。

正雄は、駈け出しました。

「清ちゃん、どこに、そんな竹があったの。

「君、この竹は、枯らしてあるんだぜ。釣りざおにするって、福ちゃんのおじさんが、取っておいたのだけれど、先が折れたからといって、僕にくれたのだ。こんないい竹は、どこを探したって、あるものか。

「僕も、そんな竹が、ほしいなあ。

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