あし·Niimi Nankichi

あし

あし

新美 南吉(Niimi Nankichi)

beginnerchildren· 1988· 青空文庫 ↗

二ひきの馬が、まどのところでぐうるぐうるとひるねをしていました。

すると、すずしい風がでてきたので、一ぴきがくしゃめをしてめをさましました。

ところが、あとあしがいっぽんしびれていたので、よろよろとよろけてしまいました。

そのあしに力をいれようとしても、さっぱりはいりません。

そこでともだちの馬をゆりおこしました。

「たいへんだ、あとあしをいっぽん、だれかにぬすまれてしまった。

「だって、ちゃんとついてるじゃないか。

「いやこれはちがう。だれかのあしだ。

「ぼくの思うままに歩かないもの。ちょっとこのあしをけとばしてくれ。

そこで、ともだちの馬は、ひづめでそのあしをぽォんとけとばしました。

「やっぱりこれはぼくのじゃない、いたくないもの。ぼくのあしならいたいはずだ。よし、はやく、ぬすまれたあしをみつけてこよう。

そこで、その馬はよろよろと歩いてゆきました。

「やァ、椅子がある。椅子がぼくのあしをぬすんだのかもしれない。よし、けとばしてやろう、ぼくのあしならいたいはずだ。

馬はかたあしで、椅子のあしをけとばしました。

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