かぶと虫·Niimi Nankichi

かぶと虫

かぶとむし

新美 南吉(Niimi Nankichi)

beginnerchildren· 1972· 青空文庫 ↗

お花畑から、大きな虫が一ぴき、ぶうんと空にのぼりはじめました。

からだが重いのか、ゆっくりのぼりはじめました。

地面から一メートルぐらいのぼると、横に飛びはじめました。

やはり、からだが重いので、ゆっくりいきます。うまやの角の方へ、のろのろといきます。

見ていた小さい太郎は、縁側からとびおりました。そして、はだしのまま、ふるいを持って追っかけていきました。

うまやの角をすぎて、お花畑から、麦畑へあがる草の土手の上で、虫をふせました。

とってみると、かぶと虫でした。

「ああ、かぶと虫だ。かぶと虫とった。

と、小さい太郎はいいました。けれど、だれも、なんともこたえませんでした。小さい太郎は、兄弟がなくてひとりぼっちだったからです。ひとりぼっちということは、こんなとき、たいへんつまらないと思います。

小さい太郎は、縁側にもどってきました。そしておばあさんに、

「おばあさん、かぶと虫とった。

と、見せました。

縁側にすわって、いねむりしていたおばあさんは、目をあいてかぶと虫を見ると、

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