ふしぎな人·Edogawa Ranpo

ふしぎな人

ふしぎなひと

江戸川 乱歩(Edogawa Ranpo)

beginnerchildren· 2005· 青空文庫 ↗

1 マントにんぎょうのまき

きむらたけしくんは、しょうがっこうの二ねん生で、とうきょうのひろいおうちにすんでいました。

おとうさんは、あるかいしゃのしゃちょうさんです。

きむらたけしくんのおうちのちかくに、ふしぎなせいようかんがあって、そこにふしぎな人がすんでいました。

二かいだてのふるいせいようかんで、そのまわりは、木のいっぱいはえたにわでかこまれていました。

このふしぎないえのふしぎな人は、林さんという、四十ぐらいのおじさんでした。

おくさんも子どももなく、たったひとりで、そのひろいせいようかんにすんでいるのです。

きんじょの人たちは、このせいようかんをばけものやしきといっていました。また、そこにひとりですんでいる林さんを、まほうつかいとよんでいました。

ところが、きむらたけしくんのおとうさんは、このふしぎな人とだいのなかよしだったので、林さんは、たけしくんのおうちへよくあそびにきました。

おとうさんはたけしくんと、いもうとのしょうがっこう一ねん生のきみ子ちゃんに、よくこんなふうにいってきかせるのでした。

「林さんはかわりものだが、けっしてわるい人じゃない。たいへんちえがあるのだよ。そのちえで、いろいろふしぎなことをやってみせるので、まほうつかいのようにみえるだけなのさ」

たけしくんもきみ子ちゃんも、林さんとなかよしになっていました。

ある日のごご三じごろのことです。たけしくんときみ子ちゃんは、林さんのおうちのにわであそんでいました。たくさんの木にかこまれたひろいしばふにこしをおろして、林さんのおはなしをきいていたのです。

林さんはくろいふくをきて、大きなくろいネクタイをとんぼむすびにしていました。

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